2022年05月22日

エンボスヒーターとドライヤーはどのくらい違うのか?

「レジン液から気泡を取り除く際、エンボスヒーターの代わりにドライヤーは使えますか?」というご質問をよくいただきます。YouTubeの動画などでレジンクラフターさんが皆エンボスヒーターを使っているのをご覧になって、「ドライヤーとは何が違うのだろう?」と疑問を持つ方も少なくないのではないでしょうか?

そこで、エンボスヒーターとドライヤーを比べてみることにしました。風量や温度を比較、そして実際にレジン液に当てて気泡の消え方の違いを一緒に見てみましょう。

果たしてドライヤーはエンボスヒーターの代用として使用できるのか!?
ご紹介いたします。

ジャンル: レジン
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目次

  1. 1.温度の比較
  2. 2.風量の比較
  3. 3.気泡の抜けやすさ比較
  4. 3.まとめ

エンボスヒーターとは弱い風量で熱風を出す道具で、レジンでは主に液の中に出来た気泡を熱風で膨張させることでレジンから抜くために使います。

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エンボスヒーター

ドライヤーとの大きな違いは、「温度」と「風量」です。まずは温度を比較しましょう。

1.温度の比較

どちらもモデル等によって前後しますが、エンボスヒーターの温度は弱で120℃、強で250℃。ドライヤーは100から120℃程。エンボスヒーターの弱がドライヤーと同じくらいの温度になります。

温度は、エンボスヒーターの方がかなり高くなります。

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2.風量の比較

洗濯バサミに挟んだ適当な紙に風を当て、目に見えるように風量を比べます。

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まずはエンボスヒーターです。弱にセットした場合の風量を見てみましょう。紙とエンボスヒーターの吹き出し口の間にこぶし1つ分の距離を取ります。

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弱に設定した場合の風量では、紙が少し後ろへしなります。

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次に強に切り替えると、弱での風量より大きく後ろにしなります。

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次はドライヤーの風量を見てみます。同じようにこぶし1つ分空け、弱にセットして風を当てます。

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弱でもエンボスヒーターの強で当てた時よりも紙がしなり、かなり風量が多いことが分かります。

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エンボスヒーターとドライヤーを同時に比較するとその違いは明確です。ドライヤーの方が圧倒的に風量があります。

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3.気泡の抜けやすさ比較

次は肝心の気泡の抜けやすさを比べてみましょう。エンボスヒーターとドライヤーを当てるケースだけでなく、何もせず放置した場合の気泡の消え方も併せて比較します。

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シリコンカップに透明のレジンをほぼ同量流し入れます。

 

レジン作業に便利なシリコンカップ

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レジンを1分くらいかき混ぜ、気泡をしっかり入れます。

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強に設定してエンボスヒーターを当てます。

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1分くらい温めると、気泡はかなり減りました。

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次はドライヤーです。こちらも1分ほどかき混ぜて気泡をしっかり入れます。

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ドライヤーの弱で1分ほど温めます。風量自体はしっかりあるのですが、風が周りにも広がってしまうのでうまくレジンを温められません。指でしっかり押さえないとカップごと飛んでいってしまいそうです。

ドライヤーの付属品のノズルをつけたら風を吹き付ける範囲を狭めることができましたが、それでもレジンに当たる風量はあまり変わりませんでした。

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大きい気泡は消えましたが、エンボスヒーターを当てた場合と比べると細かい気泡がかなり残っている状態です。

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30秒ほど追加で温めます。

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細かいゴミが浮いているように見えるのが気泡です。さらに30秒ほど加熱してみましたが、やはり細かい気泡はあまり消えません。

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ドライヤーで気泡を抜くには、細かい気泡が残る状態が限界だと思います。

いずれの場合も、さらにきれいに抜きたい場合はそのまましばらく置いておくと良いでしょう。放置時間はレジンによって変わります。

エンボスヒーターで温めた方は、5分くらい放置するとこんなにきれいになりました。

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ドライヤーで温めた方も、表面にあった気泡は消えています。しかし、画像では分かりにくい小さな気泡がやはり残っています。

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ヒーターもドライヤーも使わない場合と比較してみましょう。カップの中のレジンをかき混ぜて気泡をしっかり入れ、放置します。

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熱を加えずに放置した場合と比べると、ドライヤーもある程度は役に立つかなという印象でしょうか。エンボスヒーターを使った場合が断然きれいに仕上がります。

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さらに30分ほどおいて、放置によって気泡がどのくらい抜けるか確認してみましょう。エンボスヒーターで気泡を消したものは、30分前とほとんど変わらずきれいな状態です。

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ドライヤーで加熱したものは、30分の経過により少し気泡が減ったかな?という具合です。

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何もしていないものは、30分前とあまり変わりません。

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ヒーターやドライヤーの使用にかかわらず、気泡を完全に抜きたい場合はとにかく長時間放置します。

流したレジンを放置すると自然光で少しずつ硬化してしまいますので、長時間そのままにしたい場合はアルミホイルなどでカップごと包みます。この状態で半日以上置いておくのが理想的です。

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20時間ほど放置してみました。とてもきれいに気泡が抜けました。

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3.まとめ

レジンを始めたばかりの方やこれからチャレンジしてみたいという方の共通の疑問である、「気泡を消す際、エンボスヒーターの代わりにドライヤーは使えるのか?」をテーマに2つの道具を徹底比較!参考のため熱を加えないサンプルも用意し、気泡の消え方を比べてみました。

エンボスヒーターとドライヤーの決定的な違いは、風量と温度。エンボスヒーターが少ない風量で高温を出すのに対し、ドライヤーは風量こそ多いものの温度は低め。吹き出し口が小さくできているためピンポイントで熱と風を当てられるエンボスヒーターと違い、ドライヤーは広範囲に吹き付けるのも大きな違いです。

粘度の高い液体の中にできた気泡(空気)は加熱によって軽くなり、液体の表面に浮き上がって弾けて消えます。レジンを温めて気泡を取り除くのもこの性質の応用ですので、必要なのは風量よりも熱量。ドライヤーよりもエンボスヒーターの方が向いていることは、今回の実験結果にも表れています。

「ドライヤーはエンボスヒーターの代わりになるか」という質問に答えるには、もうひとつの要素である「時間」が大きく関わってきます。ドライヤーでの加熱で残ってしまった細かい気泡もゆっくりと液体の表面に向かって浮上し、いずれは消えます。つまり時間が経てば気泡は抜けるのです。

長時間放置すれば気泡は消えるので、道具を使って加熱する必要はないかもしれません。しかし実際には着色したレジンはすぐに使って作品作りを進めたいですよね。自然光による硬化を防ぐためにアルミホイルなどを被せて半日から1日と長時間放置をするのも、意外と面倒です。

すぐに気泡を抜いてすぐに次の作業に取り掛かりたいなら、エンボスヒーターはマストアイテム!着色剤を混ぜて複数の色のレジン液を作り、さらにそれらを組み合わせてマーブル模様に…なんていうステップの多いプロジェクトの場合は、半日も待ったらいつ完成させられるか分かりません。

細かい気泡が残ってしまうため、すっかりきれいにするには長時間放置も必要なドライヤー。対して、高熱で一気にその場で気泡が消せるエンボスヒーター。スムーズでストレスのないレジンアクセサリー作りを求めるのなら、エンボスヒーターは欠かせない道具と言っても良いかもしれません。

クオリティの高い作品と作業の時間短縮を同時に叶えたいなら、便利で優秀なツール頼み!エンボスヒーターを使えばますますレジンクラフトが楽しくなることでしょう。

 

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エンボスヒーター

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